現在実施している臨床試験について

2021.9.30




僕が犬の移行上皮癌・前立腺癌に対する臨床試験を開始してから、3年半が経ちました。


http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/vmc/research/index.html#research2






紹介してくださるホームドクターの先生方や、飼い主さまとわんこたちのご協力のおかげで、幸いにも臨床試験は非常に順調に進んでおります。




既に2種類の新薬の臨床試験が無事に終了し、現在3つ目の薬剤の臨床試験を進めているところです。

終了した臨床試験の結果は既にまとめており、現在論文投稿中です。

論文が公開されましたらまたご報告させてください。




現在実施している臨床試験について、飼い主さまやホームドクターの先生から具体的な内容や参加条件、参加方法、費用などについての問い合わせのお電話をいただくことがしばしばありますので、一度Q&A形式でまとめておこうと思いました。





この臨床試験への参加をご検討されている方の参考になれば幸いです。







Q:臨床試験で使われている薬はどのような薬ですか?

A:この臨床試験使用している薬は分子標的薬と呼ばれる飲み薬(錠剤)です。1日1回毎日ご自宅で飲ませていただきます。この臨床試験では、ピロキシカムという標準治療薬(犬の移行上皮癌・前立腺癌でよく使用される薬)も併用していただきます。ピロキシカムも1日1回毎日飲む薬(こちらは粉薬)です。



Q:臨床試験の参加条件はありますか?

A:移行上皮癌または前立腺癌であることが第一条件です。既に診断がついている場合でも、当院で臨床試験前の状態を確認するために検査を一通り実施させていただきます。具体的には、血液検査、画像検査(X線検査、超音波検査)、尿検査(カテーテル吸引により腫瘍の一部採取を含む)です。臨床試験の前の検査で麻酔をかける検査(CT検査など)を行うことは基本的にはありません。最初の診察後、月に1回程度の間隔で通院して治療効果や副作用を確認しますので、月に1回当院に通院できることも参加の条件となります。

 既に抗がん剤や外科手術、放射線治療をされている場合は残念ながら臨床試験にはご参加いただけません。ピロキシカムを含むNSAIDsは既に投薬されていてもご参加いただけます。臨床試験にご参加いただけない場合でも、冒頭に書きました既に臨床試験を終了した2種類の新薬(飲み薬または点滴薬になります)はご提案できます。抗がん剤や手術を既に受けている方も是非ご相談ください。



Q:臨床試験のメリット・デメリットはなんですか?

A:犬の移行上皮癌・前立腺癌に対する治療法として、内科療法(NSAIDs、抗がん剤)や外科手術が主に行われていますが、有効な治療法はいまだに確立されていません。この臨床試験に参加していただくメリットとして、新薬により腫瘍が縮小して生存期間が延長する(長生きしてくれる)可能性があるということと、抗がん剤と比べると副作用が少ない可能性があることが挙げられます。また、臨床試験にご参加いただける場合は、新薬の薬剤費が3ヵ月間無償になることと再診時の検査費の一部が無償になりますので、費用的なメリットもあるかと思います。3ヵ月間以降は新薬の薬剤費がかかります(症例の体重によって金額が異なりますので、薬剤費については直接ご相談ください)。

 臨床試験のデメリットとしては、確立された標準治療ではないため、治療効果や副作用の発生頻度がはっきりとは定まっていないことがあります(それを調べるのがこの臨床試験の目的となります)。新薬を使用してもあまり効果がない可能性もありうるということ、頻度の少ない未知の副作用が出る可能性はゼロではないということです。臨床試験のメリット・デメリットを考慮していただいたうえで参加されるかどうかを決めていただけますと幸いです。



Q:臨床試験の診察の流れや所要時間を教えてください

A:最初の診察(初診時)は、血液検査、画像検査(X線検査、超音波検査)、尿検査(カテーテル吸引により腫瘍の一部採取を含む)を行います。初診時の検査の所要時間は3~4時間程度です。その後、飼い主さまに検査結果と臨床試験を含めた治療プランの説明・ご相談を1時間程度させていただきます。臨床試験にご参加いただく場合は、その日から投薬を開始してもらい、1ヵ月ごとに治療効果と副作用を定期検診します。定期検診では、血液検査と画像検査(X線検査、超音波検査)のみ行い、尿検査は必要がある場合のみ行います。定期検診の所要時間は2時間程度ですが、診察の込み具合で多少前後することがあります。



Q:費用はどれくらいかかりますか?

A:初診時の費用として、初診費、検査費、新薬以外の薬剤費を合わせて8~9万円です。定期検診の費用は最初の3ヵ月間は1万円程度、3ヵ月以降は1万円+新薬の薬剤費がかかります(体重によって金額が異なりますので、薬剤費については直接ご相談ください)。



Q:臨床試験に参加後、途中でやめることはできますか?

A:もちろん途中でやめることができます。臨床試験を途中で中止しても飼い主さまになにか不利益が生じることはありません。



Q:臨床試験に参加したい場合はどうしたらよいですか?

A:当院は二次診療施設ですので、診察を受けるためにはホームドクターの先生からの紹介状が必要です。はじめての飼い主さまが直接予約のお電話はできませんのでご了承ください。臨床試験に参加したい場合は、ホームドクターの先生にその旨をお伝えいただき、先生から予約していただく必要があります。予約の際に「臨床試験希望です」と受付の方にお伝えいただけるとスムーズです。詳細は下記URLの東京大学動物医療センターのホームページに記載されておりますのでご参照ください。


http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/vmc/about/first.html




よく聞かれる質問とそれに対する回答をまとめてみました。

移行上皮癌・前立腺癌でお困りの飼い主さまとわんこたちを助けたいという一心で研究に邁進しております。


何かお役に立てれば幸甚です。





その他何かご不明点がありましたら、下記電話番号にご連絡ください。


03-5841-8004  担当:前田真吾







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