2019.12.31
もうすぐ2019年が終わります。
現在の獣医臨床病理学研究室の助教になってから、5年目となる2019年の目標として
「アウトプット」と「社会貢献」を掲げました。

今日はどこまでその目標が達成できたのかを振り返ってみました。
【達成できたこと】
目標としていた科研費を取れた
去年残念ながら落ちてしまった科研費をなんとか取ることができた。
若手研究という優遇された状況から、すべての研究者と競わなければならない基盤研究に移行しなければならないということで、僕の中ではひとつのターニングポイントだった。
これまでの知識や経験、思考をすべて総動員して申請書を書いたつもりだったので、これでだめなら研究者として小さくまとまってしまうかもしれないという危機感を持っていた。
本当になんとかもぎ取ったという感じ。
通ったとわかったときは本当にうれしかった。

ただ、これは研究のスタート地点に立ったというだけ。でも腎臓は勉強すればするほどおもしろい領域だと思うので、これからの研究の進展がとても楽しみ。
小動物臨床の研究でも医学に貢献できることを示すことができた
今の研究室に入ってからずっと取り組んできたがん免疫療法のデータを医学の腫瘍分野の中でも上位のジャーナルであるCancer Immunology Research誌に発表することができた。
ヒトやマウスの研究がほとんどを占めるなかで、犬のデータのみで掲載まで持っていくことができたのは、僕の中でとても大きかった。
人工的に病気をつくるマウスモデルももちろん重要だが、病気を自然発症する犬や猫の病態を解明して、そこから新しい治療法を提案するという「獣医学によるトランスレーショナル・リサーチ」を実行することができたのは自信になった。

それと一番うれしかったのは、新薬の臨床試験に参加していただいた飼い主さんから「長い間元気にいてくれてとてもうれしい」と言ってもらえたこと。
基礎研究だけでは味わえない、ダイレクトな感謝をもらえるというのは、研究や臨床を続けるうえで大きなモチベーションとなっていると思う。
【達成できなかったこと】
研究の実用化の道筋がまだ見えない
いくつかの研究テーマから創薬や新しい診断法の確立を目指しているが、いろいろな面でハードルが高く、まだ先が見えない。
個人はもちろん、大学だけでも難しいことはよくわかったので、今後どこまでたくさんの人に情熱を伝えてまきこむことができるかが重要だと思う。
もっと広く社会貢献できるようになりたい
動物病院で僕が診察している患者さんに対しては、比較的自分の研究が貢献できたかと思っているが、もっと視野を広げてインパクトの大きな貢献をしたいという気持ちもある。
もちろん、目の前の患者さんを助けることも大事。でも、それだけに満足するのも違う気がしている。
研究者としてだけでなく、獣医師としてや学生たちのコーチとしても、もっと貢献できるようになりたい。
【総括】
2019年を振り返って、ある程度の目標は達成できたかなと思いました。
ただ、これで満足したり、慢心したりしないように、これからもひとつひとつの仕事を進めていきたいと思います。
今年もたくさんの先生、病院のスタッフ、大学院生、学生、企業の方、飼い主さん、家族、その他大勢の方々にお世話になりました。
いつもありがとうございます。今年いろんなことが達成できたのは支えてくれる人がいるからです。
来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

Comments